「正社員」という制度はなくすべきか?といったことが巷で言われ始めています。こういう議論はずっと前からあったと思うのですが、こういった話が政治家の間でもされるようになったということは、いよいよそういう時代なのかな?と思わずにはいられません。私自身は正社員をなくすべきというか、正社員、非正規をなくすべきだと思います。正規、非正規という区別なく、ただの労働者として扱うべきなんじゃないか?と。その場合の待遇を非正規に合わせるのか?正規に合わせるのか?の判断はいるところですけど、私は同じ企業内で差を設ける場合にはあくまでも業務の内容や労働時間でするべきだと思っていて、あらかじめ正規、非正規という区別を設けて、業務内容がさほど変わらないのに、労働時間が変わらないのに、結果的に貰える給料の額やその他の待遇が著しく違うのはどう納得いかないのです。
私は全員が非正規のような不安定な働き方であって良いと思うのです。問題はセーフティネットがちゃんと構築されるということなんです。現代は、セーフティネットをもはや自分で作らないといけない時代になっているのです。貯金をする、副業をして収入源を複数確保する、より安定した職業に就くなど、仕事を失わないために、収入を途絶えさせないための努力を何故か国民自身がしないといけないような世の中になっているのです。本来はそれは国の役目でしょうし、国が責任を持って、いざというときに生活に困窮した人々を救わないといけないはずなのですが、ある意味その責任国は放棄していると言って良いでしょう。現状のセーフティネットの代表的なものは生活保護だと思いますけど、生活保護は受給率が2割を下回っている現状で、その状態で財政状況は芳しくない。つまり、2割が受給している現状でもうきついってことです。
理論上でも10割受給は不可能といっても良い状況であり、それに代わる別のセーフティネットを用意しようとしないのならば、国は最初から国民を救う気なんてないんでしょう。ということになります。特に私が特に問題視しているのはホームレスやネットカフェ難民などの住所不定の人たちです。ホームレスなんて人たちがどうして存在するのか?そんなことが何故許されるのか?私には疑問しかない。家っていうのは、人間が生存していくのにまず第一に必要な要素だと思います。それは食べ物とか一緒で、生活の基礎になるものです。首都圏は良いかもしれないけど、北海道の方では冬に凍死したホームレスの人たちがかなりいるらしいですよ。何でこんな状況が方って置かれているのか?食べ物に関しては炊き出しとかやってくれる人もいるから、ある程度なんとかなると思うんですけど、家はどうしようもないですよね。民間人が見ず知らずの人を泊めるわけにもいかないのはしょうがないと思うし。
私は以前、渋谷の街を歩いていたときに、ガード下の端から端までテントやダンボールで横並びになっている光景を何度も見てきた。それを見て、以前は「自分は家があって幸せだよな」と思っていたのだが、今は違う。家がないなんておかしいだろ!家があることの喜びを感じるのではなく、家があるのはもはや当たり前であり、家がない方がおかしいだろ!と思わずに入られなくなったし、そういう考え方の方が正しいのではないか?と今では思っています。多分、私と同じような光景を目の当たりにしたら、多くの人が感じるのは、「家がある幸せ」の方だと思う。国民の多くがそういう感情を捨てられない間は、少なくとも世論がホームレスの人たちを後押しするような状況は生まれず、今後も彼らの生活の状況は変わらないでしょうね。
年収200万円以下の若者の8割が親と同居している現状があるというニュースを見ましたが、年収200万だと、月収16万以下とかですか。働く場所によっては、とても一人暮らしはできないほど余裕がないということでしょう。大人になっても親と同居する人を以前は叩かれていたりもしましたが、私は別に何とも思わないし、むしろそっちの方が親としても安心できるでしょう。ただ、イケダハヤト氏も揶揄しているのだけど、親と一緒に同居すること自体がセーフティネットになってしまっているというのです。彼らは下手すれば、家すら借りるのが困難な状況とも言える存在で、家を借りるためにはもっと家賃が安い地域へ移住しないといけないが、そうなると仕事を辞めないといけない。そして、別の仕事が見つかるか?というと、そんな保証もない。だから、基本的には親と同居して今まで通り仕事を続けていくしかない。ネットカフェ難民同様、親と同居しているから免れているものの、見えないホームレスは実は予想以上に多いのではないか?と思われます。本来は家などのセーフティネットは国が供給すべき義務があるものですが、それが親によって肩代わりされている。肩代わりされているから、国も無視している。そういった状況を多くの識者も批判しているのですが、この国にはセーフティネットは実際ないですし、期待もできません。本来、正社員をなくすなんてことは議論の中心ではないと思う。それは社畜が自分たちの世界へ多くの人々を引き込もうとする考え方に近く、根本的な解決にはならないと思うから。

子どもに貧困を押しつける国・日本 (光文社新書)
- 作者: 山野良一
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/10/15
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (2件) を見る