公務員試験には通常の大学生などを対象とした試験以外にも、社会人を対象とした採用試験の枠が存在しています。これは名目上は民間企業(または別の公務員として)で培ってきた経験を生かして、公務員として働いてほしいという、前職での経験を生かした中途採用に等しいものだと思います。ただ、そういう経験者採用が、本当に経験者採用になっているのか?という疑問があります。以下で紹介する本に書いてあったのですが、公務員の経験者採用って、民間の経験者採用とは全くの別ものなのです。民間企業の中途採用、経験者採用の場合は、あらかじめ職種を特定して、前職でこんな仕事をしてきた人といった条件もつけて、あらあかじめ書類選考などを経て、経歴などを確認し、じゃあいよいよ面接!となると思います。つまり、欲しい人材がピンポイントで確定されており、そこにスペシャリストを補充する意味合いが強いと思うのです。

公務員試験のカラクリ (光文社新書)
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逆にジェネラリストを補充するのが新卒の一括採用ということになるのでしょう。しかし、公務員の採用の場合はどうでしょうか?公務員試験の採用の流れについてイマイチ知らない人が多いと思うので、簡単に説明をしておくと、流れとしては大学生の場合は社会人の場合では大差はありません。枠が別というだけで、選考の流れとかはほぼ同じです。まず筆記試験があって、それに通ると人物試験という形で個人面接、集団面接、集団討論などが行われます。どれが行われるか?何回行われるか?というのは、試験種や自治体によって異なります。ただ、どこも流れはこんな形で行われるのです。先ほど言ったように、公務員試験の場合は、技術職などを除くと、新卒の大学生として受けにくる場合と社会人経験者として受けに来る場合で、採用のされ方はほぼ一緒なのです。ここが民間企業とは違うところなんですよね。民間企業は新卒と中途は採り方が違いますよね。新卒は広く門戸を開いていますが、中途はある程度前職の経験、職種などを限定して採用されていますから。
公務員試験の場合、経験者採用も新卒の採用とほぼ同じやり方で行われるということですから、これのどこが経験者採用なのか?といったことが先ほど紹介した本でも書かれているのです。実際、面接とかになると、個別に質問される内容等は新卒の大学生の場合とは違ってくると思いますし、志望動機や自己PRの内容も大学生とは自ずと違ったものにする必要があります。要は公務員試験の場合は、個別に職種や経験などを限定せずに、社会人なら誰でも良いよ!という風に門戸を開いているので、民間企業としての経験があれば細かいことを問わないということですから、経験者採用という割には、結構適当な感じもしないでもないですけど、こういうやり方が一概におかしいわけでもないと思うのです。それは公務員って、基本的に事務職であれば、スペシャリストはほとんどいないと思うから。みんなジェネラリストですよ。特定の仕事にずっと長く携わるということは通常はなく、部署移動が本当に激しいから。だから、特定の職種や経験を指定しても、それが生かせる時間があったとしても、あまりに短い。だから、もう広く認めましょう!ということなのかもしれません。
だから、公務員試験の経験者採用というのは、あくまでも民間企業で培った経験全てを公務員の仕事全てに生かして欲しい。という大変アバウトな経験を求めているのかな?と推測するしかありません。ただ、中にはかなり特殊な仕事をしている人も要るんじゃないかな?と思います。具体的にこういう仕事って、ちょっと挙げられませんけど、中にはこれ公務員で生きるのかな?と思えるようなものがあったとしても、その人も受験できるのが公務員試験の経験者採用ということになります。民間企業の経験といっても、非常に幅広いですし、それを役立てられる割合などもそれぞれで違っていると思います。面接をするときに、これまでの経験と公務員としての職務の適正を見るのかな?と思いますけど、でも問答無用で誰でも応募できるのに、面接の場で適正を見られるのは、ちょっと・・・。と思いますけどね。社会人採用の面接では、具体的に何を聞かれているのか?分かりませんけどね。
社会人採用自体は相変わらずに人気みたいですけどね。やっぱり不況と労働環境の悪化により、民間企業で働き続ける限界を感じている人も多く射るみたいですから、公務員への転職を考える人はやはりそれなりにいます。ただ、公務員も幾分かマシかもしれませんけど、決して楽な職場ではないはずです。対人関係もそれなりありますし、人によっては、確かに働く時間は少ないかもしれないけど、ストレスが相当溜まる可能性もあります。また、近年は公務員の働き方も変わってきていて、残業が増えたり、給料カットなんて話もちらほら聞いたりしています。だから、あまり甘い幻想を抱いて公務員になろうとすると、公務員になれても、こんなはずじゃなかった!という後悔の念に駆られるかもしれません。

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