「お仕事何されているんですか?」という会話は何の変哲の無い普通の会話かもしれないが、私はこれが凄い嫌いだ。これを聞く人は別に悪気はないだろうし、なんとなく聞いているんだろうけど、私からしてみれば、これを聞くってことは「働くことは当たり前だ」、「働かない人はおかしい」という気持ちを持っているのではないか?と推測してしまう。実際、「働いてません」といったときの相手の反応は容易に予想できる。働いてないことがまるで悪いかのような冷めた反応をする人が大半でしょう。別に仕事をしていなくてもそれで生活できるのなら、何の問題もない。だが、それとは関係なく仕事をしているか?していないか?(もっと言うと、何の仕事をしているのか?」で人はまず人を判断する。そして、無条件に無職は一刀両断されてしまうのです。
「無職が合コン行ったらこうなった | 明るく楽しく!無職生活ブログ」というブログを見て、無職の人の葛藤を見てとれる。この方は無職らしいのだが、合コンに参加することになり、間違いなく職業を聞かれるということで、何て答えるつもりか?ずっと考えていたらしい。結局、ストレートに「無職」と答えることは出来ず、「独立のための準備中」と答えたらしい。これは別に間違いではなく、本当に独立を目指しているのなら、ありな回答でしょう。その回答で、その人はなんとか合コンの場を乗り切ったらしいのだけど、人々を悩ますこの質問はなんとかしてもらいたいと思っている。というのも、私はいくらか収入は得てはいるが、本当なら無職と名乗りたいくらいなのだ。ニートでも良い。個人的には仕事をしないと生きていくのが困難な社会というのに大いに疑問を感じているから、自分自身で仕事をしているという感覚を持ちたくない。
できるだけ無職やニートという方が心持ちが良いのです。だから、本当は堂々とそう言いたいけど、上記のように他者の反応がそれを食い止めてしまう。こういう質問をするということは、仕事をするのが当たり前ということであり、それは仕事をしないと生きていけないことを意味しており、だから、誰もが仕事をしているでしょ?その仕事は何なんですか?という頭の中で思考のプロセスがあるのかもしれない。だた、「私は仕事をしていなくても親のお小遣いで生活しています。だから仕事はしていませんし、仕事をしていなくても生きていけるんです」って、答えたらどうでしょう?これも多分同じような反応をされるケースが多いように思います。少なくとも、「へー!良いな!羨ましいな!」という反応にはならないだろう。お金を得るという能率でいえば、サラリーマンよりも間違いなく上なのだが、おそらく見下された反応をされるのではないでしょうか?ニートを叩く世間のバッシングなどを見ていれば、容易に想像できる。
ニートや無職の人がどれくらいいるのか?は分からないが、おそらく10年前や20年前と比べたらかなり増えてきていると思う。その中には働く気があるけど、仕事が見つからない人もいれば、そもそも働きたくない、働く気もないという人までいるでしょう。現実的に働かないで生きていくことは可能です。「働く」という定義もよく分かりませんけどね。マンションを所有していて、それを賃貸させて、本人はほとんど寝ているだけで、家賃収入で生きている人は働いているのか?働いていないのか?意見が分かれそう。そして、堀江貴文氏が以前、あるニコニコ生放送に出演していて、番組内で「今のオレ(番組内で討論をしている)って働いていないと思う。だってね、これギャラ出るわけですよ?これを働いているって言う人もいるし、ただ好きなこと言っているだけって見方もできるし」と言ったら、ブロガーの小飼弾氏が「どうしても一致しちゃいますねwww(他の表現の仕方がないから)たまたま働いているという名前をつけているだけの状態かもしれない」と言っていました。
結局、いわゆる会社に勤めるという典型的な働き方以外は、そもそも働いているのか?働いていないのか?も分からない状態で、お金の稼ぎ方ってのが本当に無限になってきたのだと思います。その1個1個を個別に取り出してきたら、働いているという意見もあれば、働いていないという意見もあるでしょう。先ほどの無職の方の合コンの話しに戻ると、彼は独立の準備をしていると答えた後、「どういう仕事の準備をしているのですか?」と聞かれて、「ネットビジネスの・・・アフィリエイトって分かる?」って言ったら、相手に「分からないです・・・」と言われて終了し、結局相手に思うように理解してもらえなかったみたいです。仕事を答えたら、その仕事が相手にとって理解不能なものもあるってことですよ。もはや世間である程度浸透している仕事以外は言っても意味がないってことです。挙げてみれば、世間一般人が知らないような仕事ってたくさんあるはずです。「仕事何しているのか?」と聞く側も、まさか相手がそんな特殊な仕事をしているとは思ってないだろうけど、今後一般人が知らないような、理解できないような仕事は間違いなく増えていくと思う。
そういう場合は、私もそうですけど、面倒だから「フリーランス」とか「自営業」って答えます。ただ「フリーランス」って言葉も案外知らない人がいるんじゃないか?と思うし、自営業って答えても「何かお店でも経営されているんですか?」と聞かれたら、そうじゃないからまた説明しないといけない。結局、どう転んでも面倒くさい。特殊な仕事(会社員など、雇われている以外の仕事)、世の中でまだ浸透していない仕事をしていると肩身が狭い。それは無職の人やニートの人も多分同じでしょう。仕事をしないでどうやって生活できるんだ?という疑問があるだろうし、アフィリエイトを知らない人にとっては、何それ?それでどうやってお金になるの?それで生活できるの?という疑問は残るでしょう。つまり、自分の理解できる範疇以外の回答がきたら、そういう冷めたような反応をされる可能性は高そうだと思うし、別にどんな種類の仕事をしていようが、そもそも仕事をしていなかろうが、それはその人の勝手なのだが、それに理解が及ばない人が間違いなく多くいるはず。そういう人は「仕事何しているんですか?」とはもう聞かないでほしい。世の中にはいろいろな仕事の形態、お金の稼ぎ方があり、別に仕事をいないでも生きていける人がいる。そういう多様な人たちに寛容な人、理解の範疇が及ぶ人のみにしてほしい。そうじゃない人がこういう質問をすると、相手をかなり苦しめる可能性が相当程度あるということをまず理解してほしいのです。結婚相手や恋人を探す場ではともかく、それ以外では「仕事何されているんですか?」ではなく、せめて「仕事はしていますか?」にしてほしい。

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