今は甲子園球場で球児たちが頑張っている時期ですよね。私は子供の頃ほど高校野球に熱中しているわけではありませんけど、野球は好きなので先日放送の「アメトーーク」の高校野球大好き芸人の回は2週にわたって観てしまいました。高校野球というと、プロ野球とは違った面もあって、そこに惹かれる人もいるのかと思います。実際、高校野球はすきでもプロ野球はそうじゃない。という人もいるみたいですし。高校野球は高野連がバックからいろいろ圧力をかけてくることもあったりして、一種の教育の一環として行われている。そういう見方をする人もいますし、そう見えても仕方ないと思います。ですから、プレーをする際には、ルール上問題なくてもいろいろな議論を呼ぶことがあるのです。例えば、92年の甲子園では、星稜高校の4番松井秀喜が5打席連続敬遠を受けて、当時物議を醸しました。
この試合では、スタンドから部員たちによる罵声やメガホンが飛んできたりと、異様な雰囲気の中で試合は行われ、結果は対戦相手の明徳義塾が勝利したものの、校歌を歌うシーンでは、スタンドからのヤジで全く聞こえない状態でした。この試合では、松井の次を打つ5番の月岩信成という選手が当然敬遠の次の打席で回ってくるため、チャンスばかりだったのですが、そこで打てずに、彼のせいで負けたと理不尽なことを言う人もいます。そういった歴史の中で、甲子園は繰り返されてきました。ただ、私が今まで観てきた甲子園の試合の中で、もっと疑問に思うシーンというのは、球児たちの1塁へのヘッドスライディングです。これは別に時代を問わずにずっと行われている慣例みたいなものです。プロの試合でもやる選手はやりますけど、高校野球の場合はお決まりになっている。特に試合終了の最後のアウトの場合には、打者は必ずといって良いほどヘッドスライディングをしています。しかも、明らかに無理だろというタイミングでも絶対にやるのです。
どうして、こういう慣例があるのでしょうかね?1塁へのヘッドスライディングについていえば、メジャーリーガーのイチロー選手はかなり否定的な意見ですね。「格好悪い」と言ったこともあるほどです。あと、自身が実際にヘッドスライディングを行って、肩を脱臼するという大怪我を負った元中日の立浪和義選手は、自分がやってみて、ヘッドスライディングの危険性に気付き、やるべきじゃないと悟ったみたいです。プロの選手に言わせれば、ヘッドスライディングは怪我のリスクが大きいですし、それこそあまりメリットがない。だから、推奨している選手はまずいないし、実際にやる選手も多くない。ヘッドスライディングはこの怪我のリスクがとても大きいのです。ただ、メリットがあるとすれば、それは審判がちょっと判定をゆるくしてくれるかもしれないということです。要はヘッドスライディング=頑張っている、必死でプレーしているという印象があるのでしょう。だから、ちょっとアウトっぽいタイミングでもセーフにしてくれたりという点がメリットになりえるかと思います。
ただ、これを高校球児がやるとなると、要は審判を欺くような、誤審を誘うようなプレーをしているということになると思います。球児たちがそういう目的ヘッドスライディングをやっているとは思いませんけど、結果的には誤審が多分増える傾向にはあるでしょう。そうなると、先ほど出した教育の観点からも行われる高校野球の試合で、そういう審判を欺く、あえて誤審を誘えるようなプレーをすることが是なのか?これで良いのか?というのは、個人的な疑問です。あと、さらに疑問なのはどうして最後のアウトをとられるバッターだけはほぼ確実にやるんでしょうかね?それ以外のシーンではやったり、やらなかったりですけど、最後のアウトをとられるシーン、内野ゴロに限りますけど、この場合は9割5分以上の確率でやっているように思います。最後だけでも必死さをアピールしたいのか?ならば全部のプレーでやるべきでは?と思います。秋にも大会はあるでしょうから、甲子園の最後の試合だから怪我をしても良いということでもないでしょうし。
あと、ヘッドスライディングと駆け抜けはどちらが速いか?は度々議論になりますけど、私は仮にヘッドスライディングの方が早かったとしても、0コンマ何秒の差くらいしかないと思うのです。要はSEIKOのストップウォッチ以外ではその差を認識できないくらいの差だとしたら、人間がアウト、セーフを判定する審判の場合、それくらいの差じゃ意味がないのです。人間がそんなに僅かな差を認識できるとは思えません。よって、付きまとうのは怪我のリスクと誤審を招く情の部分でしょう。そういう意味でも、球児にはあまりヘッドスライディングをしてほしくないというのが個人的な感想です。やるつもりもなく自然に出ている面もあるのかもしれませんけど、結構危険なプレーですからね。ヘッドスライディングはメリット云々よりも、怪我のリスクというデメリットがあまりにも大きいと思うのです。

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