就職活動では、いわゆる「キラキラネーム」の学生は不利と言われています。DQNネームという言い方をするのかもしれませんけど、こうした名前は人事担当者に避けられる可能性が高いのです。どういうキラキラネームなのか?という基準は人それぞれ異なるんでしょうけど、要は「珍しい」とか、「他になかなかいない」というのがおそらく多くの人の頭の中で思い描いているキラキラネームの基準ではないでしょうか?こういう差別ともとれる採用の仕方が合理的なのか?は分かりません。普通に考えたら本人の名前と仕事の能力とかがそこまで相関関係があるとは思えませんし。キラキラネームの学生を実際に働かせたうえで、不採用を決定しているならまだしも、書類選考の段階で、名前だけに注目して落としているのなら、それは差別や偏見と言われても仕方ないでしょう。
そういうやり方が法律上許されているのなら、文句を言ってもどうしようもありません。ただ、じゃあどうしてキラキラネームが嫌われているのか?どうして珍しい名前、他でまず見ないような名前の学生は不採用にされやすいのか?理由としては単純に人事担当者の印象がよくないから、それだけ不利になる。ということもあると思います。また、さらに考えられるのは、そのキラキラネームの学生を仮に採用して使えなかった場合に、「ほら!見たことか!おかしな名前の奴を採用するからそういうことになるんだ!」と、上司とかに言われる、突っ込まれる、責められる余地を残さないためではないでしょうか?採用した人材がすぐに辞めたり、仕事ができなかった場合にその人を採用した人間に責任を追及されることはないとは言えません。多分、どこかでは行われているでしょう。そういうときに客観的に瑕疵と思われる部分、名前がヘン、空白期間が長い、短期職歴ばかり並んでいる、そういう世間一般的に見たら瑕疵のある人材を採用して問題が発生した場合、その瑕疵を間違いなく追及されてしまう。
要は、そのキラキラネーム等の人が人間的にどうか?というよりも、後で自分の立場が危うくなるのは困る。だから、リスクのある人を採用するのはやめておこう。という意識が働いている気がするのです。一般的に空白期間の長い人や短期職歴ばかりの人が仕事を見つけづらいとされているのも、こういう理由は少なからず絡んでいると思います。ましては今は内定辞退をすると、人事担当者が豹変して怒鳴り散らしたり、脅迫してくるケースもあるようなので、彼らは採用活動に際して、相当自分の立場を気にしていると思われます。ですから、後々リスクが顕在化しそうな人は避けといた方が無難だろう。ということで、人間的な側面を見ようともせず、名前の一転だけで不採用を食らってしまうのでしょう。普通に考えたら、使えない人がキラキラネームだったとして、その人の職務能力と名前を結びつける上司の頭がおかしいのではないか?と思います。たまたま仕事ができない人がそういう名前だったという話でしょう。
だいたい、こういうキラキラネームの話になると、責められるのは親ですよね。どうして親が責められるか?というと、実際に起きているのは学校でのいじめとか、今回のような就職試験での不合理な差別とか、明らかに珍しくない名前の人と比べると、人生の難易度がハードですよね。ただ、これって親が悪いんですか?就職試験の問題については、会社には採用の自由があるからある程度仕方ないにいしても、学校のいじめに関しては、どうしていじめる方を責めないのでしょうか?名前がヘンだといじめて良いんですかね?学校のいじめに関しては、確かに名前を理由にいじめられるケースも多々あるでしょうし、それは名付ける親にも予想はつくと思います。ただ、だからといっていじめる側の生徒の行為が正当化されるわけではないでしょう。そもそもいじめがなければ、いじめられる心配を考慮して名前を考える必要性がないのです。つけたい名前があるのに、いじめのこと考えるとつけられない。それこそおかしな話です。
いじめが正義なら、いじめられるような名前をつける親が悪い。というのも別におかしくないと思いますけど、そうじゃないのなら、名前を理由をいじめる側の生徒がどう考えても悪い。要はキラキラネームに関して、名付けた親を責めるような人は、人を名前のみで判断するか、もしくは名前の珍しい人をいじめるような人間という傾向があるのではないか?と思います。そう考えると自然なんです。要は自分たちの差別や偏見の目を正当化するには、名付けた親が悪い。としないといけないからです。差別や偏見をする側が悪いとなると、自分たちが悪くなってしまうから。だから、そのように考えてしまうのは仕方ないんだ。そう考えさせてしまう方(名付けた親)が悪いんだ。という風に世の中の風潮を操作すれば、自分たちは正義ということになりますから。要はキラキラネームに関して、親を責めるような人は名前を理由にいじめをるような人間である可能性が十分考えらると思います。
例えば、「キラキラネームDQNネームは就職活動(就活)に不利」というサイトでは、以下のようなことが書かれています。
>「3年ほど前、子会社のキラキラネーム系の男性新入社員が入社半年ほどで出社しなくなった。間もなくその親が会社に乗り込んできて、『上司のいじめのせい で子供が出社拒否になった』とまくし立て、会社に補償まで求めたのです。だが、人事が調べても上司に落ち度はなく、男性社員の被害妄想だっただけでした。
その一件以来、人事ではエントリーシートや面接の際に、キラキラネームの人にはどうしても厳しくなってしまう。試験結果が同程度なら、やはり一般的な名前を優先して採用する。前例があるのに人事は何を考えてんだ、と責められる可能性があるからです」
これを理由にキラキラネームを排除するならば、じゃあ珍しくない名前の人間では、こういった一切なかった前提じゃないとおかしいと思いますけど、普通の名前の人間はそういう行動を起こさないのでしょうかね?普通の名前の人間がそういう行動を起こしたら、じゃあ、同じような名前の人間を採用拒否しますかね?この人事担当者は。絶対にしないと思いますよ。また、前例があると言われても1件や2件の前例で判断することが妥当とは思えません。これが10件や20件とか、それ以上にのぼるなら、名前とそういう社員の問題性に相関関係が見出せるかもしれませんけど。少ない前例のみで判断していたとしたら、それこそのただの偏見だね。と思われてしょうがないと思います。就職試験で不利になるというのは、現実的にはしょうがないことです。いくら諭しても、それを聞かない企業ばかりでしょうから。
名前っていうのは、本来は他者との区別を目的とするものであるから、よくある名前ってのは、そもそも名前の機能を果たしてないわけですよね。特に苗字がありきたりな場合、名前までありきたりだと、日本全国にどれだけ同姓同名がいるんだ!?ということになります。名前というモノに本来の機能以外の付加価値をつける伝統が続いてきた弊害とも呼べる事態が、このキラキラネームを巡る騒動だと思います。ただ、今の子供たちの名前って、以前では聞かないような珍しい名前がつけられていることが多いです。珍しい名前でも、それが一定数集まれば珍しくなくなるのでしょうけど、今はそれぞれで全く違った個性豊かな名前が浸透してきているように思います。この世代が将来大人になったときが楽しみですね。果たして、彼らの名前は「キラキラネーム」と揶揄されるのか?今のようにそれぞれの家庭で、それぞれ違った個性豊かな名前がつけられているなら、珍しい名前をつけることが珍しくない事態が訪れるならば、名前云々で人のことをとやかく言う人間がいなくなって、それはそれで良いことだと思いますけど。

ステレオタイプの社会心理学―偏見の解消に向けて (セレクション社会心理学)
- 作者: 上瀬由美子
- 出版社/メーカー: サイエンス社
- 発売日: 2002/03
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 31回
- この商品を含むブログ (3件) を見る