生活保護を年金と比較して、不公平と言う人がいます。個人的にはそもそも異なる制度で、受給対象者も違う制度なのだから、生活保護と年金を比べて不公平というのはよく分からない。また、厳密に比較をすれば決して不公平ではないと思いますよ。実際、生活保護受給者の中で、年金受給者の中で、貰っている金額が違うとか、同じ土俵のなかで比較した結果、不公平と言うのなら話は分かるのだけど、別々の制度で不公平って、どうやって比べるの?と思います。同じような仕事をしながら、自分の勤めている会社よりも高い給料を出している会社があったら、それは不公平なのか?というと、違う気もしますね。ただし、両方とも金銭を受給している点、かつ受給対象となる人が同じような高齢者が多いという共通点があるので、比較したくなる気持ちも分からないでもないのですが。さきほど、生活保護を年金は厳密に比較をすれば不公平ではないという話をしましたが、その理由は、結局年金の方が貰えるだろう金額が高いからです。
生活保護と年金の1ヶ月あたりの金額を見ると、生活保護の方が高いケースが多いようです。しかし、受給年数が違えば、1ヶ月あたりの金額は意味を成さないじゃないですか?年金は65歳くらいから受給して、いつまで貰えるか?というと、一生涯貰い続けられますが、生活保護は特に決まっていません。昨今のバッシングや国の対応を見ると、どんどん受給期間も縮小されそうですね。期間がどれだけとも言い難いのですよ。実際、10年も20年も支給され続けるケースもあるかもしれないが、そうじゃないケースも多々ある。つまり、平均の受給年数を比べたら、生活保護の方が短いはず。そうなると、受給年数に差があるのだから、1ヶ月あたりの金額で両者に差があったとしても、生活保護の方が年金よりも得とは決められないのです。生活保護なんていつ打ち切りが決定するか?分からない不安定な制度なので、精神面も不安定でしょう。私は絶対に年金の方が良いです。
そもそも、年金は老後の生活を安定させるために受給するものであって、生活資金の足しになるものです。つまり、年金保険料を払っていたとしても、老後の生活に問題ない場合は、本来貰えるはずの年金の金額から減額されてしまいます。例えば、65歳を越えても働いている方は、その分収入があります。その収入の金額によっては、「あなたは年金がなくても、十分生活できますね」と見なされて、一部年金がカットされることもあります。そうなると、要は年金というのは老後の生活を下支えするものであり、その支えがいらない人は、そもそも年金は必要ないという考えから成り立っていると思われます。だから、年金の支給金額が少なくて不満があったとしても、生活に困らないのであれば、年金の支給金額が生活保護より少なくても問題ではない。というのが、おそらく国の考え方なんでしょう。実際、年金だけでは苦しいという人は生活保護を併給できますから、年金にも生活保護同様に個人や世帯の収入や資産の問題も加味されてしまうのです。生活保護の受給に関しても、働いている人はその分減額されますから。
私は年金の方が得だと思いますけど、年金より生活保護の方が得じゃないか!?と思うならば、年金保険料を支払うのをやめたらどうなんですか?ということです。やめられない人がいるのは可哀想だなと思いますが。実際、生活保護が年金より得なのは、毎月支給される金額が高いという点、あとは保険料の支払いが関係ないという点もあります。逆に言うと、他の面では劣っている部分が多々あると思います。年金の方が優れている部分って多いんですよね。例えば、先ほども言ったけど、年金は規定年数保険料を支払えば、受給開始から、一生涯支給されます。これはベーシックインカムと同じ性質のものです。つまり、年金制度自体が崩壊しない限りは100%毎月お金が入ってくるのです。この安心感はなかなかないですよ。
生活保護はどうでしょうか?仮に受給が決定したとしても、それがいつまで続くでしょうか?年金は平均寿命まで生きると、20年くらいは支給されますよね。生活保護が20年間も続きますか?厳しいと思いますよ。仮に続いたとしても、それは結果論であって、20年間毎日、明日打ち切られるんじゃないか?という恐怖が存在しています。そんな精神状態は、私は無理です。高齢者の場合は働くことが困難なので、働いてないことを理由に支給が打ち切られづらいかとは思いますが、さすがに財政的な問題で、受給者全員が、一生支給されるとも考えられないのです。年金は基本的に100%一生涯支給され続けます。生活保護はそんな保証はないし、明日打ち切られるかもしれない恐怖が毎日襲ってきますよ。生活保護がどれだけの期間支給されるか?は分かりませんけど、年金の支給年数を仮に20年とするなら、トータルの金額でいうと年金の方が上回る気がします。1ヶ月単位で見たら、確かに生活保護の方が得かもしれないけど、長期的に見たら、結局年金の方がトータル貰える金額間違いなく高くなるケースが多いと思います。
そして、生活保護には審査があります。生活保護は、最近外国人への支給は違憲といった判決が出たと思いますが、日本国民であっても、税金を納めてきた人が審査ではねられるケースが多々あります。財政的な問題と世論冷たい声によって、審査を厳しくしているのか?分かりませんが、受給できる確率は以前と比べてもどんどん低下してきているのではないか?と思います。そして、受給できても、支給金額は減少傾向です。つまり、年金保険料の支払いを無視して、将来生活保護に頼れば良いや!と思って、いざ将来申請してみたけど、拒否された!じゃあ、その人はどうやって生活するの?という問題が一定の割合で確実に起きます。つまり、年金を保険料を支払わないで、生活保護に将来頼った方が得だと考えても、将来その生活保護を受給できる保証がないのです。受給できる確率は今後どんどん下がっていくような気がします。それで構わないなら、そういうリスクがあることを知ってするなら、私はどうぞ好きにやってください。という感じですが、さすがにこのリスクは大きいでしょう。年金の1番のメリットはやはり安心感と何度も言っておきたいと思います。
以上のようないつ打ち切られるか?分からない恐怖と申請しても受給できるか?分からない恐怖の2点のデメリットを考えると、年金じゃなくて生活保護に頼ろうとすることはあまり得策だとは思いません。年金は生活保護と比べて不公平か?というと、生活保護のリスクが大きすぎて、全く不公平だとは思えないのです。しかし、それでも尚生活保護の方が年金より得だと思うなら、私はそういう人は、じゃあ年金保険料を一切支払わないで、生活保護に頼るのも良いと思います。私はそういう選択肢もありだと思います。リスクを理解したうえでとる行動ならばその人の自由です。しかし、現実的には年金保険料を納めずに、生活保護を当てにして生きていくのは、おすすめしません。私は絶対にその道は選びません。生活保護にも年金にも、どちらにも問題点はあるだろうし、リスクもありますが、結局老後の安心のためというのを1番に考えるならば、私は年金を選んだ方が良いと思います。年金と比較して生活保護がそんなに得に思えるでしょうか?生活保護と年金はそんなに不公平でしょうか?私は生活保護も年金もやめて、ベーシックインカムに一本化すべきだと思いますが、そういう状況は近い将来にはきそうにありません。ベーシックインカムにしてしまうのが、生活保護受給者、年金受給者ともに文句が出ない策だと思うんですけどね。

陽のあたる家~生活保護に支えられて~ (書籍扱いコミックス)
- 作者: さいきまこ
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2013/12/16
- メディア: コミック
- この商品を含むブログ (6件) を見る