「働かざる者食うべからず」という言葉があります。誰がこんな言葉を作ったのか?いやいや、別に作ったわけじゃないかもしれない。自然に生まれた言葉なのかもしれません。この言葉を正しいと思っている人間は、おそらく現在のところ働くことができていて、仕事でお金を稼いで、食べ物を買えて、餓死することなく生きていくことができている人たちだと思います。私はこの「働かざる者食うべからず」は相当な暴言だと思います。結局、これを言うのは間違いなく社会の強者だからです。要するに、仕事もあるし、お金も稼ぐことができるし、食べ物にも困らないからこそ、こういうことが言えるんだろうなー。と思うのです。実際にそういうことに困っている人たちに対して、この言葉を投げかけるのだと思います。しかし、現代において、この「働かざる者食うべからず」は正しいのでしょうか?
この言葉が誕生したと思われるのは何百年も前のことですが、その時代は機械もないし、人間しか労働力を担う存在はありませんでした。だから、人間が働かないと何も生産されないし、食べるものすら得られなかった。だから働かないと、食えなかったんです。しかし、現代では違う。ロボットとか機械が代替できる分野が増え、人間が別に働かなくたって、社会は回る。生産力も落ちない。サービス業以外は機械に代用できる部分がかなり多くなってきたにもかかわらず、人間が働くからこそムダが生まれてしまっている部分はあると思います。人間が何故働くか?というと、働かないとお金が得られない。そして、食べ物も得られない。じゃあ、生きていけない。そういうシステムに社会がなってしまっているから。だから、ムダなのに人間は働くことを選び、会社も雇用している。したがって、誰も疑わないような、その当たり前のサイクルが、逆に凄いムダを生んでしまっている部分があると思います。
それを解消するには「ベーシックインカム」が1番良いと思います。要するに、人間が働いているムダを無くすには、一定の金額を毎月与えて、無理して働かないといけない状態から解放してやるのです。しかし、世の中にはここでも「働かざる者食うべからず」を理由として反対する人がいるのです。私に言わせれば、「働かざる者食うべからず」がベーシックインカムの反対の理由として適切なのか?疑問です。というか、反対される意味が分からないのです。国全体の生産性が大分向上したので、別に一定数働く人がいれば、世の中は今のシステムでも回るでしょう。すると、働く必要のない人、働きたくない人は働かなくても十分国民全体が食っていけるはずなのです。「今、多くのサラリーマンがやっているのは労働ではない。ただの再分配だ。要するに、誰がどれくらい奪う権利を持っているのか?それを争っているに過ぎない」と、ブロガーの小飼弾さんも言っています。今存在している「労働」と言われているもののうち、どれだけが本当に必要な労働なんでしょうか?ただの再分配と化している労働はいらないってことです。
現代では、昔と違って働かなくても食える時代ですから、そもそも「働かざる者食うべからず」という言葉は単なる価値観になってしまっているということです。働かないと食えない時代は、みんなが働かないと、そもそも国が成り立ちませんから「働かざる者食うべからず」は正しいというか、紛れもない事実でしたが、働かなくても食える時代は単なる人々が信仰している価値観に過ぎないのです。人間がわざわざ大勢働く必要性は大分減少したと思います。じゃあ、それを理由にベーシックインカムに反対するというのは、意味が分かりません。別にベーシックインカムが導入されても働くことは可能ですから、働きたい人、「働かざる者食うべからず」を信仰している人、働かない人間は人間じゃない!といった偏った見方をしている人などは、どうぞ今まで通り働いてください。で良いでしょう?逆にそれと全く逆の考えを持っている人は、働く必要性がなくなった時点で働くのを止める。それで問題ありません。働きたい人は働く、働きたくない人は働かない。それが両方実現できるのがベーシックインカムだと思いますし、「働かざる者食うべからず」を理由にベーシックインカムに反対するメリットは微塵たりともないと、私は思います。
ベーシックインカムは「働かざるもの食うべからず」という、貴方たちの価値観を阻害しません。むしろ、偏った1つの価値観を押し付けて、人々がゆとり持った、多様な生き方をすることを阻害しているのがあなたたちなのです。ベーシックインカム賛成派は働くことが当たり前とか、当たり前じゃないとか、おそらくどちらも思っていないと思いますよ。人間がそれぞれ生きたいように生きましょう!という考えを持った人が多いと思います。多様な価値観を認めるのがベーシックインカム賛成派で、偏った1つの価値観しか認めないのがベーシックインカム反対派という傾向も少しはあるのではないか?と思います。「働かざる者食うべからず」という言葉は実は文字通りの意味ではないという説もありあますが、これを使っている人はおそらく大半が文字通りの意味で使っていると思われます。つまり、働く必要もない人に無理矢理労働をさせるという意味にもつながり、先ほども言ったようにそれこそ無駄な労働を生むきっかけを与えてしまっている。
そして、本来働く必要のない人が働かないと食ってはいけないとなると、働いて給料を稼ぐ必要のない人も、なぜか食うための労働をしないといけなくなる。月に数百万円のお小遣いを貰うセレブニートという人たちがいますが、彼らが仮に働くと、以前にも同じようなことを言いましたが、本当に仕事を必要としている人、食うための労働を必要としている人が働ける余地がどんどん減ってしまう。仕事を是が非でも見つけないと生きていけない人たちの邪魔をする思想なんです。働かないのに食える人を無理矢理働かせて、何か良いことあるんですかね?本当に働きたい人、働かないといけない人が働いて、そうじゃない人は労働市場に参戦してこないのが、最も合理的で効率的だと思いますけどね。

働かざるもの、飢えるべからず。
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