日本の生活保護は不正受給対策ばかりが叫ばれ、メディアの報道も不正受給ばかり。自治体や国の対策としても、行われるのはいかに支出を減らすか?いかに不正受給を防ぐか?というものばかりです。そりゃ不正受給は防ぐべきだし、支出が減るのは良いことでしょう。しかし、自治体や国がすべき努力は生活保護の捕捉率を上げることにも及ぶべきでしょう。捕捉率が上がるということは、生活保護の受給者数が増えるので、当然支出が増えるので、国や自治体からしたら、捕捉率を上げる方向に持っていくのは嫌だ。それは・・・理解できなくはないです。
でも、国や自治体がそんな態度ではダメでしょう。生活保護制度は憲法25条の「生存権」を具現化した法律であると解されます。生存権については、細かい話になりますけど、プログラム規定説と呼ばれていて、国に対して努力義務を課しているに過ぎない。つまり、国民全員が最低限の健康で文化的な生活が出来るように努力をしていれば良い。ということになります。じゃあ、生活保護制度は、努力をしていることになるのでしょうか?生活保護の捕捉率は20%弱と言われています。しかし、現状では水際作戦などの違法行為をしなければいけないほど、国や自治体の財政は逼迫してしまっているのです。現状を踏まえると、理論上、生活保護制度では生活保護の受給資格がある人のうち、80%の人は最低限の生活を送ることが不可能となってしまいます。
今後、受給者数はまだまだ増えていくと思われますが、それと同時に違法に受給が拒否されるということも起きていくと思われます。この捕捉率20%という数字は、今後もほとんど変わらないと思います。要するに、理論上わずか20%しか救えない制度しか整えない現状が、努力義務を果たしていることになるとは思えないのです。最初から8割の人を救えないと分かっている制度を継続し、そこからする努力は不正受給対策、または近年になって生活保護法を改正して扶養義務を強化したように、不正、不正じゃないにかかわらず、申請を躊躇わせ、受給者そのものを減らす対策ばかりです。捕捉率は上がるどころか、益々下がりそうなんですけど?
明らかに生活保護なんて制度、というか社会的弱者を救う気がない。できることなら見殺しにしたい。そういう気持ちがぷんぷん漂ってきます。国にしてみれば、経済活動や税金の徴収でほとんど貢献してくれない存在ですから、救う意味があるか?というと、損得勘定でいえばあまりないかもしれない。ただ、そういう姿勢が国として許されるか?許されるとは思えない。第一、この国の場合は国民性が大人しいからまだ問題は起きていないものの、いい加減にそういった姿勢を改めないと、いずれこの国でも暴動起きますよ。そして、その暴動が国の人間に向けられて行われるなら、単に自業自得といえるかもしれない。でも、それが関係ない一般市民に向けられたら、たまったものではない。
日本は治安が良いって言われていて、それが美徳みたいに言われているけど、それって、結局は治安が悪くなる原因は確かにあるのに、犯罪を犯す勇気がないとか、犯罪を犯すくらいなら自殺を選ぶ人が多いから、結果的に治安が悪くならないだけだと思います。治安が悪くなれば、その原因を突き止め、世の中全体が過ごしやすくなるように配慮する動きが生まれるかもしれませんが、治安が悪くならないせいで、そういう動きは一向に見られない。治安が良いせいで、世の中に潜んでいる問題点に気付かないんです。というか、仮に気付いてても多くの人にとって無視できる状況にある。それは暴動等が起きないから。その問題が爆発したりしないですし、表面化していないから。治安が良いってことが、文字通りの素晴らしさを表しているとは限りませんし、日本の場合は違うと思います。
少なくとも私は社会的弱者の味方でありますが、いずれこの日本でも暴動が起きそうな気がしています。しかし、誰が味方か?それは社会的弱者の目線からは分かりませんから、生きるために誰に対してでも良いからと、何らかの犯罪行為を犯す人が出てくるのは、もはや時間の問題です。国のいい加減な姿勢によって、何の罪のない一般市民が犠牲になるって何よ?生活保護法の改正が発表されたとき、多くの人によって「国家による弱者に対するいじめ」だという表現がなされました。まさにいじめといっても言い、そういう構造になってしまっていますよ。私は救う気がないならないで、それを早々に宣言するか、憲法から「生存権」の規定を抹消するか、してほしいです。「救う気はないけど救う振りをしている」という、曖昧でずるい現状はどうも腹立たしいです。
早く自民党政権、安倍首相政権は淘汰されないかなー?

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