就職活動の場で、よく話題になるのは「学歴フィルター」です。学歴フィルターは学歴によって、就職活動の初期段階(選考に進む前の説明会参加など)で主にとられる策であり、これによってフィルターにひっかかてしまった学生はそれ以降の選考に進めない。事実上、その企業を受けられないということです。これは門前払いを意味しているものですから、一部の学生からよく避難の声を浴びせられます。一見すると、ちょっと酷いやり方に見えてしまうかもしれませんけど、私はその声には正当性はほとんどないと思っています。学歴フィルター自体は別におかしくないと思うのです。その理由として1番大きいのは、学歴によって学生を選別することが違法でないので、問題視される謂れはないからです。
就職活動というのは、そもそも多くの集まる学生の中から、企業が欲しい人材を選別する場です。何らかの方法を用いて選別しないといけません。基本的に合法なものであれば、どんな手段を使っても構わないはずです。極端な話をすればね。企業が望むならくじ引きとかでも良いと思います。したがって、数ある学生を選別する方法の中で、たまたま学歴による選別が行われているだけ。他の選別方法をとることもできますし、実際にやっています。例えば、面接です。こちらの方はそれほど文句は飛んできません。しかし、多くの学生は何で面接を文句を言わないで、学歴フィルターには文句を言うのでしょうか?そこが私は謎なんですけど。私に言わせてみれば面接の方が絶対におかしいと思うくらいですけど。
面接による選別はどうして文句が少なく学歴による選別はどうして文句が飛んでくるのでしょうか?私はそこが理解できない。面接なんかで選別された方がよほど理不尽な感じがします。というのも、皆さんもご存知な通り、採用基準が不透明、結局は面接官の好みで決まるということが否めないからです。「人物重視」と聞くと、聞こえは良いかもしれないけど、端的に言ったら「適当な採用方法」ってことですからね。採用基準が不透明、面接官の好みで決まりやすいという2つの要素は、選別を受ける学生からしてみれば、まさにいい加減な採用方法といえると思います。一方、学歴フィルターは、面接と比べると性質が全く逆です。学歴フィルターは、学歴によって選別されますが、学歴は基準がはっきりしているし、面接官や人事担当者の好みで慶應が落ちて、日大が受かるとかそういう逆転が起きることもないでしょうから、非常にフェアだと思います。
誰が優劣が明らかで、合否の理由としても納得がいきやすいです。単に学歴が足りなかったのですから。SPIという筆記試験で選考が行われることもありますけど、あれだって一応学力を見ているわけでしょう?SPIに批判が集まったという記憶はないので、ならば、同じく学力を見ている学歴フィルターも良いのではないでしょうか?ただ、面接で判断されると、いわゆる「コミュニケーション能力」といった曖昧な要素を中心にして、人によって面接官が違うし、聞かれる質問も違うし、される評価も違う。だから運ゲー要素が強く、何をすれば受かるんですか?という問いに答えられなし。何をすれば受かるか?分からなければ、先が見えない。50社、100社受けてどこからも内定がとれない人は、じゃあ200社受けてもどうせ受からないよね。って、絶望的な気分になるでしょう。
タレントの山田五郎氏も「就活は努力のしようがないんですよ」と言っていたように、努力しないで内定がとれる人はとれるが、とれない人は全くとれない。しかし、内定をとるための努力ができるのか?というと、私は難しいと思います。就職活動を通じての自殺者が多いというのも聞いていますが、面接を中心にした今の就職活動システムは企業にとって、好都合なのかもしれませんが、学生にとってはどうにもできない辛酸を舐め続けているに等しいのです。努力してどうにかできるものなら、頑張ろう!って思えるかもしれませんが、努力のしようがない、でも内定はとらなきゃいけない!となると、未来が見えないですよね。何をすれば内定を獲れるか?分からない状況で、内定が全然獲れない学生はそりゃ死にたくもなりますよね。
私も面接得意じゃないですし、就職活動を真面目にやっていても内定が獲れていた自信は皆無です。よって、私であれば学歴で選別された方が受かっても、落ちても全然納得がいきます。それに努力のしようがありますから。勉強すれば良いだけですから。仮面浪人して別の大学に入ったり、大学院に進んで学歴ロンダしたりと方法もあるでしょう。だいたい、学歴フィルターなんてのは就職活動の初期段階で、それ以降は面接中心になるのですし、また、全ての企業が導入しているわけではないです。学歴不問の企業が圧倒的に多いと思います。にもかかわらず、ここまで文句が出るのはどうして?と思います。学歴は努力できる資質をそのまま表す物差しとして非常に優秀なフィルターになると思います。中には一般入試以外で入学した学生もいるでしょう。仮に推薦入試やAO入試が一般入試よりも楽だとして、手間をかけないでそれなりの学歴を手に入れたなら、それはそれで仕事にも生きそうです。コストを、労力をかけないで、より大きな成果を出すというのは、まさにどの企業も目指していることでしょうから。
よって、私は学歴フィルターは企業から見ても、学生から見ても非常に重要な物差しとして働くと思っています。否定される理由が分からない。学歴フィルターがあるのに、それを隠しながら採用活動を行っているという否定意見もありますが、公開して何の意味があるのかな?と思います。学歴フィルターがかかわるのは多くの場合、説明会参加の段階で、参加しようと思ったら、あれ?満席だ。という状況が生まれるということでしょう。つまり、その企業にエントリーしたけど、説明会に参加できない。ナンだよ!エントリーしなきゃ良かった!ってなるだけだと思います。そうなると、エントリーボタンを押したクリック1回だけがせいぜい無駄になるだけ。学歴フィルターを公開しても、改善されるのはせいぜいクリック1回分が無駄にならないだけであって、現実的な問題としてメリットはほとんどないと思います。学生側が主張する「学歴フィルターを公開しろ!」という主張には、あまり合理性があると思えません。
今の就職活動は企業によっては大量エントリーが集まってしまいますから、何らかのフィルターを設置するのはやむを得ません。そのフィルターに学歴を使っている企業が多いのは、自動的に篩にかけられるから便利というのがあるでしょう。学歴フィルターを批判するのであれば、学歴に代わる別のフィルターが必要ですが、それはあるのでしょうか?しかも、それは企業にとって学歴同等程度に便利なものでないといけません。それがないのであれば、学歴フィルターを我慢して呑むか、リクナビ、マイナビなどのサイトが消えて、大量エントリーができなくなる昔の就職活動システムの再来を願うしかないと思います。私なんかは今のシステムよりも昔の方が良かった。と思ってますよ。リクナビ、マイナビ等の登場で就職活動の方法自体は便利になったかもしれないけど、多くの学生にとって、結果的に内定を獲るのが以前よりも大変になってしまったのです。

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