先日、『「ベーシックインカムが導入されたら皆働かない」←これは嘘 - 就職しないで、ブロガーになった人のBlog』という記事でベーシックインカムを導入しても、労働意欲は大して変わらないだろう。という話をしました。ベーシックインカムについて、私は並みの人よりは少しは知識があるだろうと自負していますが、世の中の並みの人はベーシックインカムってのは社会主義的政策で、毎月働かなくても一定の収入が入ってくる。堕落を招く政策だろうという認識じゃないか?と思います。ベーシックインカムについてアンケートをとると、だいたい55:45くらいで反対派が上回るみたいです。
しかし、例えばニコニコ生放送で、ベーシックインカム賛成派がいろいろと解説をして、ある種の正しい認識を埋め込んでいくような啓蒙活動を行うと、70:30くらいで賛成派に寝返る人がかなり増えるということを見てきました。要するに、目先のイメージだけで勝手に判断して、その正しい中身を理解していない人が多くて、それを理解すると、お?案外ベーシックインカムって良いんじゃない?って感じる人は結構多いんでしょう。つまり、ベーシックインカム自体は毎月一定の収入を働く、働かないにかかわらず保障する社会主義的な政策は間違いないと思うんですが、=人々の堕落を招くということは間違いだと思います。
堕落という言葉を用いるのは、おそらく働かなくなる人が増えるという意味で使われていると思います。しかし、前回の記事でもお伝えした通り、働く人は減るとは思えない、また、多少減るくらいならそれはむしろ好都合って感じです。ベーシックインカムが導入されてもベースは資本主義社会です。ベーシックインカム単体だけを見ると、確かにそれは社会主義的政策ですが、それを導入しても根本の資本主義社会には変わりはない。競争は制限されませんから。
それどころか、ベーシックインカムによって、以前にも増して競争が激化すると予想します。それは単純な理由で、これも前回の記事でもお伝えした通り、リスクを恐れる必要がなくなるから、貯金を全額つぎ込んだりしても、毎月最低限の生活は保障されているので、仮に失敗しても食うものに困るといったことは起きません。だから、気楽に競争に参加できる環境が整います。よって、より一層競争は激しくなると思うのです。
そればかりか、企業が人を雇うときの状況も変わると思います。企業を構成しているのも、同じ一人間ですから、それぞれの生活がかかっています。だから、企業の人事は企業の業績を悪い方に傾けてはいけないということで、リスクをとりづらいのです。バブルの頃は変わり者を雇う余裕があったと聴いたこともありますが、今ははっきり言って必要最小限の人員を確保するのみ。だから厳選採用とも言われ、職に就けない人が増加してしまっています。変わり者を雇う余裕なんか微塵もないでしょう。だから、どの企業も同じような理想の人物像を掲げて、当たり障りのない人間しか求めない。
しかし、ベーシックインカムが導入されて、企業に勤める人間の生活も保障されれば、雇った人間が使えなくて多少会社の業績によくない影響が出て、従業員1人1人の給料が下がってといった事態が起きても、大した問題にはなりません。最悪、企業が潰れても路頭に迷う人はいませんから、企業の方も冒険がしやすくなる。要するに、コピー人間みたいな一律な人材の採用をしている現状から、いわゆる変わり者を採用して、企業内の、業界内のイノベーションを促進させてくれるような可能性を持つ人間を採用しやすくなるのです。企業内にも余裕が出るから、雇用も増える。働きたい人は求職活動をして採用されやすくなる。働きたくない人は働かなきゃ良い。リスクをテイクして、人員を多く確保して大儲けに走る企業が増えやすくなり、雇用問題も大方改善され、経済全体も逆に活性化する可能性すらあると思います。
経済が停滞しやすくなっている要因の1つには、リスクをテイクしない企業が多くなった。それはリスクととって失敗したときの心配をしないといけないからでしょう。アベノミクス等で景気回復を促進させる方法よりも、ベーシックインカムを導入した方が間違いなく消費は進みます。将来に対する備えは国が保障してくれるので、貯金があまり意味を持たなくなりますから、お金を使う誘引になると思います。そして、物価もインフレ傾向に振れると。今、世の中で懸案になっていることの多くがベーシックインカムによって、改善される可能性があると思います。